最近テレビで良く聞く筋膜リリースとは?

最近『筋膜』とか『筋膜リリース』とう言葉を耳にするようになってきましたので一度試してみたいと言ってお越し下さる方が多いです。また、どこに行っても改善しないので来ました。と言う方も増えています。ここで改めて筋膜&筋膜リリースについて正しく覚えて頂きたいと思います。

筋膜リリースとは?筋肉を解放して元に戻すための施術方法

リリースの意味は、『剥がす』ですが、正しい解釈をした上での表現は『解放する』となります。
圧や振動、ストレッチを用いて、筋膜のねじれやよじれなどの異常を解放することにより元に戻し、筋と筋膜の正しい伸長性を回復し筋肉が正しく動けるようにするための方法です。
非対称な姿勢や動作をとり続けることや同じ姿勢を長時間とり続けること、怪我などによって身体の一部に負担がかかり、身体がアンバランスな状態となると筋膜が自由に動けない状態になります。すると筋膜のよじれが生じて筋膜と皮膚・筋肉との間の滑らかな滑りが失われます。

筋膜が張り異常が出るメカニズム

筋膜のよじれができると、コラーゲン繊維とエラスチン繊維が一部により集まり、本来はサラサラの状態が粘っこくなってほどけなくなります。
筋膜は全身につながっているので、ほかの筋肉や筋繊維にまで動きの悪さが波及し、痛みや筋力の低下、柔軟性の低下、運動パフォーマンスの低下、日常生活活動の低下がみられるようになります。筋膜のよじれやねじれを解消して、正しい筋と筋膜の伸長性と筋肉の動きの回復を促すのが筋膜リリースです。

筋膜リリースの効果とは?

筋膜リリースを行うことにより、筋肉の柔軟性を引き出し、関節の可動域を拡大します。 正しい筋膜の状態になる事で以下のような効果が期待出来ます。

肩凝りや腰痛の改善

デスクワークでずっと同じ姿勢でいると、肩が萎縮して段々と固くなってくることはありませんか?
これが肩凝りの症状です。
またずっと立ちっぱなしでいると、腰の周りの筋肉が硬直して腰が曲げにくくなることもあります。
これは、筋膜が萎縮によって痛みや不調が出ている状態です。
筋膜をリリースする事で筋肉が正常な状態に戻り慢性的な肩凝りや腰痛の改善につながります。

美容やダイエットにも

筋膜リリースは美容やダイエットにも効果が期待されています。
正常な位置に骨格が戻るので、バストアップ、ウエストダウン、ヒップアップの効果が期待できます。
またポイントは血液の流れが良くなるということです。
筋肉が固まって動きが鈍くなるとリンパの流れも滞ってしまいます。
すると、老廃物がたまりやすくなりむくみを引き起こします。
他にも血流が良くなり基礎代謝が上がるといわれています。
基礎代謝がアップしたということは、それだけ痩せやすい体になっていると考えられます。
ダイエットのための食事制限や運動と一緒に筋膜リリースを行えば、相乗効果が期待できるかもしれません。

身体の柔軟性改善

筋膜リリースを行うことで筋肉の伸びがよくなり、筋肉同士の癒着がなくなることでそれぞれの筋肉の自由度が増します。
そうすることで身体の柔軟性が高まり、手足が伸ばしやすくなったり可動域が拡大するなどの効果がみられます。

筋膜リリースの本当の効果

よく言われるのが『筋膜の癒着が剥がれる』とか『硬いところを押し広げて柔らかくなる』といったものです。
本当にそうしたことが起こるのかというと、今の科学では正直なところ証明しきれないし、物理的にあり得ないというのが研究者や筋膜に詳しい専門家の意見です。
でも確かに、筋膜リリースと言われている手技やメソッドを行うと『体が軽くなった!』と『動きやすくなった!』といった感覚を多くの人が実感するのは事実です。
現代の科学で考えられている要因は大きく2つあります。

①筋膜リリースの力学的影響

力学的影響というのは、いわゆる圧刺激に対して起こる組織の水和作用が考えられます。
洗い場にあるスポンジを想像してください。
スポンジに水をたくさん含ませようと思ったら、皆さんはどうしますか?
おそらく一度スポンジをぎゅっと握って、中の水を絞りきってから浸して水を吸わせると思います。
これと同じように、皮膚の上からフォームローラーや物を押し当てることによって、一時的にその表面にある組織を虚血(血管や組織の流れを押さえる)させます。
そうすると、圧から解放された時に血液や間質液(組織と組織の間にある液、リンパとも言われる)がそこにドッと流れ込んでくるため、その箇所の組織に失われた潤いが戻ってくるというわけです。
筋膜は、異常をきたすと水分量が減って組織がドロドロになります。
なので、筋膜リリースをすることによって潤いが失われた筋膜に再び潤いが取り戻されるような現象が起きて、結果として筋膜の滑りがよくなるから体が動きやすくなると考えられます。
筋膜の滑りが良くなれば、それに包まれている筋肉や骨の可動域も増えるので、結果として柔軟性が上がったり、筋肉の出力が上がるといったことが起きると考えられます。

②筋膜リリースの神経生理学的影響

近年ではこちらの説が最も有力と言われています。
いわゆる体の硬さや痛み、体の動かしやすさをどこが決めているかと言ったら、全てその患部ではなく脳が決めていると考えられています。
筋膜の3つの役割でもお話ししたように、筋膜の中には感覚を司る固有感覚受容器が他の組織よりもたくさん含まれています。
固有感覚受容器が刺激を受けることで、痛みをはじめとした感覚に対する”閾値”が変化して前よりも多くの刺激(ストレッチ感や痛み)を受け入れられるようになります。
要は前屈をした時に、ひざ下を超えたあたりで腿裏の筋肉が『もうこれ以上伸びれませーん!』と感じたらそこで脳が危険を感じで痛みを発したり動きを止めようとしますが、腿裏を筋膜リリースすることでその痛みや伸びを感じるポイントを下げることができると考えられます。
それによって結果的に、前屈で手がつくようになるわけなんですね。
また痛みがなくなるというのもこの神経生理学的な要因がほとんどだと考えられます。
どれだけ姿勢が悪くても肩や首に痛みを感じない人もいれば感じる人もいます。
それはその人の固有感覚受容器の感受性が高いか低いかによって決まるというわけです。
これら2つの要因によって、筋膜リリースは体の柔軟性や動かしやすさの向上、痛みの軽減といった効果が得られると考えられます。